歌はYutaの中に

アートな青とプリンスな紫が好き

数か月前に書いてた感想文

加藤シゲアキくん 直木賞もだったけど 本屋大賞ノミネートおめでとうございます

すごいなあ 次々とわくわく増殖

以下 11月に対象作品を読んだときの感想文です

とっても楽しい読書の時間でした♪

 


2020-11-30

「オルタネート」加藤シゲアキ

文字の世界がわたしの中に確かに存在して 自分もそこにいる 作者と一緒に高校生たちをかんじている

そう思いながらずっと読んでたし 読み終わってもその世界にとどまってた

読み終わったその朝にシゲちゃんの感染を知ってとても驚いたけど 覚めて現実の世界に居ることも 細菌がこの世界を覆っていることも よく知っていることだったのよね

今は誰が感染してもおかしくないし 若い彼らはきっと元気になる

そのあときっとまた精力的に活動することは 伊野尾くんはじめ身をもって示してくれる先達がいてわたしたちを勇気づけてくれてる
わたしたちはだから 事実を冷静に受け止めて 読後の心地よさも継続してていいんだな

気をつけて自分たちの暮らしを守り しばしの休息の人の回復を祈り 細菌を正しく怖れ 毎日を正しく歩いて行く

ココロにあるたくさんの感動と喜びを失わないようにしながら

 

 

さて シゲちゃんの最新作品 長編小説「オルタネート」
感想を書くにあたって ネタバレはしないけど 出版社サイトに書かれている程度のことは触れるかも

まっさらに読みたい方は ここで回れ右してね 

 

 

まず「オルタネート」ってなに?
サイトに語彙説明みたいのがあったので参考にすると
alternate
(1)交互に起こる、互い違いになる、交互に繰り返す
(2)《電気》〈電流が〉交流する
(3)代わりのもの、交代要員、代理人、補欠
この作品の中では 高校生が使うマッチングアプリの名前として登場する


サイトにあるストーリー紹介も表しておくね
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった現代 東京にある円明学園高校で、3人の若者の運命が、交錯する。

調理部部長で品行方正、しかし、あるトラウマから人付き合いにコンプレックスを抱える蓉(いるる)。

母との軋轢を機に、絶対真実の愛を求め続けるオルタネート信奉者の凪津(なづ)。

高校を中退し、かつてのバンド仲間の存在を求めて大阪から単身上京した尚志(なおし)。

出会いと別れ、葛藤と挫折、そして苦悩の末、やがて訪れる「運命」の日。3人の未来が、人生が、加速する――。
悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。3年ぶり、渾身の新作長編。

 

 

加藤シゲアキくんの長編小説を愛読してきて 一番好きな共通点は 映像が目に浮かぶ感じ
どの物語も生き生き動いてる
今までの作品の中にはツラいシーンもあって そこを通る時には胸がえぐられたりもした
今後もあるんだろうとおもう
けれど 今作に限っては凄惨な場面とかもなくて 登場人物が高校生ということもあって爽やか
もちろん若い子の持つツラさ・生きにくさは びんびん響いてくるのね

どうして今の子はこんな思いをしなくちゃいけないんだろうと いたましかったりもする
(それはJ-Popの音楽聴いててもおもうことなんだけどね)

SNSを介して人間関係を築くという前提が 昭和の人間には真の意味では共有できないからそう思うだけかもしれない
そもそも今回の作品が高校を舞台にして マッチングアプリがキーワードになってるっていう前情報を知ったとき 正直に言うと少し逡巡したの
理解できないと危惧したわけではなくて それを読んでおもしろいと思えるかな と少しおもっただけのことで
心のどこかでは本気で心配しなかったし もちろん全然オッケーだったよ

とてもおもしろいと思えたよ

おもしろかった どころじゃなく
気づいたら涙があふれてた
物語の展開は 自分のココロの動きにとてもフィットしてた
高校生に共感できないなんてこともまったくなく どの子もいとしくて他人とは思えなかった
そして シゲちゃんがこの登場人物たちを愛して産み出したんだと 勝手に確信したの 

シゲちゃんは この物語の中に「手触り」とでも呼べるようなものをいくつか配してくれていてね
そのどれもが シゲちゃんもとても好きな世界だし わたしも大事にしてるものだったので 本当に嬉しかった
さらにシゲちゃんは 登場人物たちが互いをいとしく思ったり求めたりすることを とても素直に心地よく書き表してくれた
ハグしたり手をつないだり を登場人物たちにさせてる場面があたたかい
そういうシーンごとに シゲちゃんもこの子たちを「かわいくおもってる」と実感できて なんかシゲちゃんが同志におもえた

ヘンな感じ方だなあ シゲちゃんだってわたしよりうんと年下なのにね

なんか慈愛の眼差しみたいなのを持ってるヒトだなあっておもったの